(2012年8月4日~2012年8月12日)
鷹野洋平
2002年に独立した東ティモール。およそ4万5千世帯(27万人、人口の1/4)の農家がコーヒー生産を主な収入源としている。所得は年間で一世帯あたり127ドル~200ドルで、そのうち90%がコーヒーからの所得といわれる。
今回当社で扱っている東ティモールの有機コーヒーの輸入元、特定非営利活動法人パルシックの「フェアトレードコーヒー生産者を訪ねる旅」に参加。
首都ディリからパルシックの拠点のあるマウベシ郡へ。そのマウベシ郡から車で険しい山道をいくつも登り降りし、約2時間かけて目的地レブルリ集落に到着。標高1200mの高地。おいしいコーヒー豆の条件である激しい寒暖の差をまず実感する。
翌日、コーヒー農園へ。
コーヒーの木は山地の急斜面にシェードツリー(日陰樹)に守られるように散在していた。
木はかなり高く(3~4m)、高い位置にある枝は、低く引き寄せてチェリーを摘み取る。
急斜面なのでコーヒーの収穫は、必然的に機械を使えず、一粒ずつ手摘みで、真っ赤に熟した完熟豆だけを摘み取る。足場が悪いので、かなりの重労働である。
中南米の整備された農園のように、剪定して木を低くすれば良いのだろうが、その間の収穫量の減少を考えると、なかなか踏み切れないそうです。
また、この様な山岳地帯ではシェイドツリー等の落ち葉が肥料となり、またコーヒーの種を取り出した果肉部分を堆肥として利用しているそうです。まさしく化学肥料を全く使わない有機コーヒーである。
午後、コーヒーの精製工程を見学。
①水槽に入れ、浮いた欠陥豆を除去
②果肉と種を分離
③水の中で24時間発酵させ、ぬめりを除去
④2週間ほど天日で乾燥
⑤乾燥させたパーチメント付きコーヒー豆を選別
すべての工程で、不純物・未成熟豆・虫食い豆等を丁寧に除去選別します。
この様にして、おいしいコーヒーができるには、栽培から収穫・出荷までたくさんの丁寧な手作業が行われています。
「おいしいコーヒー」には全てそれなりの理由があるのです。
【おわりに】
コーヒー屋の立場としてコーヒーそのものの生産体験を述べましたが、植民地時代・インドネシアの武力侵攻と悲劇を味わってきた東ティモール。コーヒー生産の歴史は古いとはいえ、独立後の短い期間にこれほどの高品質のコーヒーを生産している事は驚くばかりです。